手ぐろめ精製体験

こんにちは。高木あすかです。

先日、国産の漆の樹木から採取したものを手でこねまわして、漆の水分を飛ばして塗り漆へと精製する体験をしてきました。

国産漆はとれる量が少なく、とても貴重で高価です。日本にある漆は大体中国産の物が売られています。

 

違いとしては、

性質が日本産のが塗膜が堅くて薄いので、蒔絵に向いており、中国産は柔らかくて厚いので堆漆に向いています。

日本産のいいところをあげると、塗膜が堅く、密着度が高く、表情が繊細で美しいようです。何百年の持ちこたえてとても丈夫なものができます。

しかし、値段も中国産と比べて何倍も跳ね上がりますし、制作する面で扱い方が全然違ってくるようです。

 

話はもとに戻りますが、外の暖かい日差しの中で温度を高めに調整し、何千回も専用の桶と舟とよばれる入れ物で、こねまわします。最初は結構とろとろしています。桶の方は何回もしているので漆が染み込んで真黒く、つやつやしていました。朝からやって、夕方に終わり、そのころに黒い塗り漆が出来上がります。私は昼過ぎからは用事があったので、どのようになったかは見れなかったのですが、量が少ないほうは昼頃には黒くなってとろみがさらさらになっていました。

 

よく、水分を飛ばした後、混ぜて入ってしまった空気が一日おくと空気があがって表面にたまってきますので、それをアク取のようにヘラでそいで、定盤といわれる板の上で練って空気をなくしてからまた元に戻すそうです。

 

実はこれを行う前の日には「ナヤシ」という精製漆の乾燥被膜に光沢及び肉持ちを与えるために、原料の生漆の粘度に応じてクロメ以上にまぜまくる作業をしていました。これには行けてなかったのですが、大変な労力だったようです。

 

今は攪拌機がありますが、精製するまでまだまだ時間を使います。漆の作品を仕上げるまでにも最短3,4か月、一年か半年以上はかけたいところです。

 

本当に忍耐のいるもので、また紹介しますが、「漆・うるわしの饗宴展」でのアーティストトークである作家の方が「漆で作っていると自分の知らなかった力もついています。私は忍耐力があまりなかったみたいだ。とても辛抱強くなりました。」とおっしゃっていました。本当にそうだなぁと私も共感しました。一日徹夜して、できるものでもないですし、計画性と焦っても手を出さない(半端の乾きで手をだすとさらに時間がかかる)などの力が着いたと思います。塗りの時はホコリを嫌い、丁寧にやらねばならないものなので、ガサツで傲慢な私の人格形成にピッタリな相棒です。持ち前の大胆さや勢いを活かしつつも、漆さんに助けられながら現代に活きる漆作家を目指したいですね。