もう11月末

日が暮れるのが早くなると一日も早く感じて、一日が早いと一ヶ月が早く、そして一年が早く感じてしまいます…。もう年明けが近づいてますね。

 

先日、花小路にあるギャラリーの「ぎおん小西」にて、漆の先輩の林源太さんの展示を見に行きました。ちょうどいらっしゃって大分上の先輩なのですが、気さくに話しかけてくださいました。工芸の作品が多くて、今は変わり塗りの研究をしていて、貝を細かく潰して漆に混ぜて塗りをしたりして、黒の中にほのかにキラキラ光るものや、艶のある黒のもの以外にいぶし銀のような味わい深い食器などがありました。しかも、どしりとした見た目とは裏腹に、持つと大変軽く、とても使いやすそうでした。

昔はオブジェなども作ってらしたそうなんですが、やはり、バブルがはじけてからはそう売れず、作り終えたあとの虚しさなどから、自分の足でしっかり立ち構えたいと思い、工芸を主にやり始め、今ではテレビなどで取材もされ、売れっ子になり、これのみで生計を立てられているそうです。今も注文は絶えず、その分作品数がとてもありました。しかし、忙しさがひと段落したあと、大きいものが作りたくなったそうで、もうそろそろ作ってもいいんじゃないかと一点だけ何十年かぶりのオブジェが奥の間に飾られていました。

花瓶を作ったという事ですが、ホテルのロビーに置かれていてもおかしくないような大きな花瓶でした。三日月の形をしており、どしりと漆の変り塗りで粘土のような質感をしており、そこにキラキラとした細かい粒が混ぜ合わされて、ひっそりとした神々しさを醸し出していました。

 

すごい格好いいと思いました。オブジェだけでは生計を立てるのはやはり難しく、作る意味があるのかすら自信が持てません。しかし、工芸でしっかり自立した後に、オブジェを作り始めたのでそのオブジェにはすでに意味がある気がしました。 

 

私はオブジェを中心に作家活動をしていて、作品には私が面白いと感じたことや、好きな雰囲気が込められています。それに共感してもらったりすると、とても嬉しく思います。が、やはり、展示が終わったあと日の目を見ることのない作品たちを思うと虚しく思います。

とてもとても悩むところです。