「きみたちは、ぼくのバラとは全然違う。外見は美しいけれど、いてもいなくても、おんなじだ。でも、あのバラだけは、きみたち全部よりも大切だ。自分が美しいと思って精一杯守ってあげたバラだけが、ぼくのバラなんだ。」
「星の王子さま」より
私の最近の作品は糸と漆を使っています。
糸を使い始めたのは、漆が「何にでも塗れる」ことと「乾固すると強度がつく」というところに着目しました。さらに縄文時代からも腐敗せず、残せるという「長く保存がきく」という特徴があります。
そこから自分で手間暇かけて育てた綿を糸に紡ぎ、その時間
私が育ててるから私の2015年の時間や想いがこの綿花には与えられていて、それを糸にして編んで作品に(具現化)したものを漆で固めて保存します。
育てるにあたっての日記と写真をまとめました。結構いろいろあったんです。よければさらりと見ていってください~。
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2015年の5月からタンブラーに種を植え、毎日水を与えた。種は綿から取れるので、短い綿に包まれていて、ふわふわした見た目のものである。二週間ほどで芽が出るとの話だったのに、中々出てこないので、掘り返して確かめたりもした。芽が初めて外に見えて出たのは植えてから三週間後であった。
発芽の瞬間は小学生の生物の時に朝顔を育てる授業でも感じたが、とても力強いものを感じると改めて思った。小さいもので弱そうな見た目なのによく重い土の中から這い出てくると思う。発芽したら成長が早いもので、双葉を見せ始めた。
細かい雑草をとりつつ成長を見守っていたのだが、双葉は虫に狙われやすく、そこでダメになってしまうものもあった。生き残ったもの達は着々と背を高くしていき、タンブラーから出てきた。葉の形が双葉から変わり、三つ又のものが出てきた。
日が常に当たって、暑いほうが好みらしいので、朝の位置と夕方の位置を毎日動かして日に当たるようにした。住宅街なので、影になる部分が多かったからだ。
あと6月7月の時期は雨も多くて背が高い子は倒れたりした。屋根を作って風よけをしてあげたりしないといけなかった。
ここでもう一つやっかいだったのが、葉巻虫という害虫であった。
葉っぱが不自然に巻いてる部分があって、何だろう?とのぞくと「なんか」いた。気持ち悪いし、うんこみたいな黒い粒粒が見えて、嫌だったのであまり観察しなかった。
調べると「葉巻虫」という綿花の葉を狙ってやってくる虫で、葉を巻いて巣にし、そのまま葉を食べ尽くすヤツだった。こんな虫は初めて見たので、「よく目ざとく綿花があるところを見つけてくるなぁ」と感心したが、すごくむかつくやつだ。
葉が少なくなると光合成する部分が減って、栄養が作れず、うまく育たなくなるので、早急に対策する必要があった。虫よけのスプレーを巻いたりしたが、注意してないとどこからか巣をつくるし、作られた巣はもうちぎって虫ごと潰すしかなかった。葉巻虫のせいで、死んでしまった株もあった。おのれ葉巻虫め。。。
ムカつきすぎて葉巻虫の記録の写真を撮るのを忘れた。
そして背が1m超えて来たら、頭の部分を切り、成長をとめて花をたくさん咲かすように促す。花が咲いて、それがコットンボールをつくるという流れである。どのタイミングで切ればいいのかわからいし、新芽が出てるところを切るのは勇気がいった。
8月ごろ、背がある程度大きくなり、葉も増えてきたころ、そろそろ花が咲いてもいい頃合いなのに中々私の子たちはつぼみを見せなかった。他の記録日記をつけているサイトではもう咲いてるところが多かったのに。植えるのが遅かったのもあるし、日も常に当てられる環境ではなかったからか、発育不良である。
まだかな~と心配してたけど、8月15日にちゃんと蕾らしきものを発見した。
一つ発見したら意外と他にもあって、わかりにくいだけだったみたいで、ちゃんと勝手に成長してた。よかった。ガクの三角錐の中に小さい蕾が守られていた。
次の日にはちゃんと花も咲かした。心配したやないか。お前さん黄色やってんな。
でも、花を咲かしたかと思ったら、次の日しぼんでた。「おろろ。。。なぜなぜ病気?虫?」って思い、調べたら綿花の花は一日で終わるそう。ほっとしたけれど、一日しか見れないなんて。しかも、開き切らないで終わる。何ナノこの子たち。本当に一日で種を作れるのかしら。。。
そして萎む時はピンク色になって萎む。かわいいね。頑張ってね。
花がちょこちょこ咲いては萎むを繰り返しながら9月になった。太陽が沈むのが早くなり、日当たりが良いところを探すのに苦労した。花は咲いてたけど、全然実がついてたりとかしてなくて、「絶対開き切らず一日で萎んでたからうまく受粉できなかったんだ~。。。」って思った。
9月8日、くた~と垂れ下がってる三角錐のガクがあったので、「蕾元気ない、また虫か!」と中を見たら、実でした。重くて垂れ下がってた。またまた他にも蕾だと思ってたのが大体実をつけて垂れ下がっていた。わーい!すっごく心配した!
順当に実をつけて、大きく膨らんできた。あとは弾けるまで待つのみ。この辺になるとあまり水もやらないほうが良いとのことで、虫がついてないかだけを見張った。
まだ花を咲かしてるのもあったし、実もぷくぷく成長していった。
けど、10月11月、時期になってもまたなかなか弾けてくれなかった。。。
11月20日にようやく弾けてるのを確認!太陽がよく当たってカラカラにならないと弾けにくいとのことだった。自宅は山の中にあるし、日が当たりにくいしでベランダに移動させたりして日に当てるようにした。究極もう土から外してドライフラワーのように干していれば弾けるとのことだった。
そして収穫。
ふわもこちゃん達。全体的に小ぶりで、数も少ないし、弾けれなかった子もいたけど、めちゃかわ。
さてこれをどう作品化にしようか楽しみ!
以上、綿花日記。
本当に星の王子さまでバラを育ててるのと同じ感じだった。